世界トップクラスのビジネススクール IMDから見たGRLPの魅力

世界トップクラスのビジネススクール IMDから見たGRLPの魅力

企業の幹部教育に特化した世界トップクラスのビジネススクールIMD。企業のエグゼクティブや企業が直面する課題にフォーカスしたIMDのプログラムは多くの企業から高く評価されており、スイス本校を含めて、世界中で毎年98か国8,000名以上のエグゼクティブが学んでいます。

IMDは世界展開を加速しており、2015年にはシンガポールにキャンパスを開設しました。日本企業に対しても、企業特化型カスタマイズプログラムや公開短期型プログラムを提供。また、2016年からは、日本の代表的企業約30社からなるコンソーシアム「デジタルビジネス・イノベーションセンター」との提携を通じて、デジタルビジネス変革に関する教育プログラムを東京で開催するなど、存在感を高めています。

今回は、IMDから見た「逆風下の変革リーダーシップ養成講座」(以下、GRLPと表記)」の魅力と、IMDがコラボレーションする意義について、IMD北東アジア代表の高津尚志氏にお話を伺いしました。

GRLPは、挑戦しがいのある大きなチャレンジである

IMDはエグゼクティブの教育に特化したビジネススクールです。日本国内では、特定企業にカスタマイズしたプログラムは提供してきましたが、日本のパートナーと組んで複数の日本企業の方々が参加する公開型プログラムを提供するという経験は、実はGRLPが初めてです。

企業特化型カスタマイズプログラムでは、通常その企業のエグゼクティブだけが受講します。たとえば、日産自動車のカスタマイズプログラムでしたら、日産自動車の方々しか参加しません。しかし、GRLPには日産自動車の方々だけでなく、日産自動車以外の企業からも参加します。そういう意味では、GRLPは挑戦しがいのある大きなチャレンジです。

また、講師であるCyril Bouquet教授とJennifer Jordan教授にとっても、GRLPはチャレンジです。通常、IMDの教授陣は世界中からいろいろな国の人たちが集まっているという条件で教えます。しかし、GRLPの受講生は主に日本人です。それゆえ、彼ら教授陣はどのようにこの受講生に接し、どう貢献できるかが問われることになります。一方で、日本人に教えることで、彼らの教育者としての引き出しも広がります。つまり、IMDの教授陣はGRLPの受講生を教えると同時に、受講生からも教えてもらっていると言えると思います。

確かに、IMDはトップスクールとして、日本のエグゼクティブに直接的な形で価値を提供しています。しかし、それは前述したように一方的なものではありません。IMDもまたGRLPを受講する多くのエグゼクティブたちからさまざまな刺激を受けているのです。

GRLPに感じる3つの大きな意義

GRLPの魅力のひとつに、ケースで学んだことに関して、その当事者から直接教えを受けたり、議論したりできるということがあげられます。たとえば、カルロス・ゴーン氏はまさにグローバルリーダーを体現している方ですし、志賀理事長もルノー・日産アライアンスを成功に導いた立役者です。そういう方々と一緒に仕事をすることは何にも代えられない貴重な経験です。また、研究対象としても、カルロス・ゴーン氏や志賀理事長、そして彼らが成し遂げてきたビジネスはかなり魅力的です。

ところで、世界中のエグゼクティブにIMDが価値を提供していくということを考えたときに、IMD単独でできることと、現地のパートナーがいるからこそできることがあります。そして、GRLPは日産財団と早稲田大学という現地パートナーがいるからこそ実現できるプログラムです。IMDはそこに強い価値を見出しています。

具体的には、IMDは次の3つの点において、GRLPに大きな意義を感じています。

  1. 日本において、日本のエグゼクティブたちに教育的な価値を提供できる
  2. グローバルリーダー育成に関する新たな知見を得ることができる
  3. 教育・研究両面で、早稲田大学や日産財団と深いコラボレーションができる

IMDにとっての“グローバルリーダー”とは?

GRLPではレジリエントグローバルリーダーシップを学びますが、IMDでは“グローバルリーダーシップ”を次のように定義しています。

  • グローバルリーダーとは何か?

現在と未来の複雑で不確かな環境において、組織の変革の旅路を形作り、導くのがグローバルリーダーである。

  • グローバルリーダーは何を行うのか?

複雑性と不確実性の海で舵をとり、いくつもの境界を越えて様々なステークホルダーを成功裏に結束させる。その境界には、地理的なもの、機能のサイロ、業界の壁や組織の違いがある。そして、組織の変革を実現し、優れた、持続的なビジネスの成果を達成する。

私はこの定義に非常に共感しています。特に、「いくつもの境界を越えて」ということが大切だと思っています。「境界」は垣根と言い替えることもできるでしょう。

日本で“境界”と言うと、通常、日本と外国、あるいはスイスやアメリカなどのように地理的な意味で使うことが多いです。確かにそれもグローバルリーダーが乗り越えるべき要素ですが、IMDではあえて「機能のサイロ」や「業界の壁」「組織の違い」も入れています。これは、今のビジネスが複数の企業や組織でコラボレーションしながら新しいビジネスモデルを作っていくというように、どんどん複雑化しているからです。

しかも、デジタル化によって、たとえば今まで機械を作っていた会社がインターネットの会社と組むといったことも増えています。伝統的な製造業と先進的なIT企業とでは、当然ながら文化、お金の単位に関する感覚、スピード感、服装、年齢層など、さまざまな違いがあります。そうした違いを越えて成果を出せるかどうか、現代はそのことが強く問われていると思います。

そうした時代であっても、リーダーはリーダーとして組織を進化させなければならない、変革しなければならないわけです。これは容易なことではありません。どのように情報を得るのか、得た情報をどう使うのか、誰と組んで何をするのか、組むときにはさまざまな“垣根”を超えないといけませんが、その“垣根”をどうやって超えていくのか。そういった工夫や力が求められるのです。

行動することで、人は成長する

長年の幹部教育の経験から、エグゼクティブにとって一番大切なことは“意識変革”ではなくて、“行動変容”であると、IMDでは考えています。研修等で何らかの刺激を受けるだけではなく、それに基づいて、明日から違うやり方でやってみよう、違う人に会ってみよう、違う時間の使い方をしてみようといった気づきを得て、それを実践することが大切なのです。

さきほど、IMDのグローバルリーダーの定義をご紹介しましたが、結局のところ、リーダーとは、自分の運命は自分で変えられえると思っている人たち、自分の環境は自分で変えられると思っている人たちのことではないかと思います。

ですので、GRLPの皆さんには“Be yourself with more skills.”という言葉をお贈りします。要約すると「あなた自身でいなさい」という意味です。同時に、「さまざまなスキルを身につけなさい」ということです。

これは、「性格を変えることはできない。けれども、行動を変えることはできる」という話です。たとえば、内気な人であれば、内気な性格自体は変えられないけれども、場面に応じて外交的な自分を演じたり、外交的に行動したりすることはできます。特にリーダーともなれば、ある種自分のそもそもの持ち味でないものでも使わなければいけないということもあるでしょう。

また、よく言われることに「日本人はプレゼンテーションが下手だ」というのがあります。しかし、これもプレゼンテーションを技能として身につければいいだけのことであり、国民性や文化、性格の問題ではありません。そのように分けて考えることが大切だと思っています。ですから“Be yourself with more skills.”なのです。

結局のところ、「行動する」と「その行動からの反応を得て省みる」ということを繰り返していくことでしか、人は成長しません。GRLPで学んだことをベースに何か新しい行動をしたり、今まで惰性でやっていたことをやめたりするなど、GRLPに参加したことで何らかの行動を起こしていただければ嬉しいです。

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高津尚志
IMD北東アジア代表
日本興業銀行、ボストンコンサルティング、リクルートを経て現職。金融、戦略、人材活用等の面から、一貫して日本企業のグローバル展開に関与してきた。
 2010年、経営幹部教育において世界トップクラスの評価を受けるスイスのビジネススクールIMDに参画。日本企業のグローバル幹部育成の計画構築や遂行支援に従事する。

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