GRLPアルムナイ キックオフパーティー

2017年7月18日19時、日産財団主催「逆風下の変革リーダーシップ養成講座」(以下、GRLPと表記)のGRLPアルムナイのキックオフパーティーが開催されました。キックオフには、2014年の第1回から第5回まで計150名の修了生のうち約35名が参加、積極的に交流を図る様子が伺えました。

GRLPアルムナイは次世代リーダーのための人的ネットワーク

blog-0022-1.jpg「アルムナイ」とは卒業生や同窓生、つまりOB・OGの集まりのことです。ビジネススクールでは、人的ネットワークを構築する意味から、修了後も教授陣や同窓生、OB・OGとの交流の場としてアルムナイを組織化することが多々あります。

そもそもGRLPの目的は、逆風にあってもしなやかで折れないグローバルに活躍する次世代リーダーを育成することです。そのためには、人的ネットワークの構築は必須ですし、5日間に渡って侃々諤々の議論を交わした仲間とのせっかくの縁をそのままにしてしまうのはとても残念なことです。 そこで、日産財団も、GRLPで構築された人的ネットワークを修了生自身のビジネスにも活かしてもらうために、修了生が互いに近況を報告したり、情報交換したりするための交流の場としてアルムナイを組織化することにしました。それがGRLPアルムナイです。

キックオフは、最初に日産財団理事長・志賀俊之氏から開会の挨拶があり、次にGRLPの開発・研究をし、講師としても活躍されている早稲田大学教授でWASEDA NEOのマネジングディレクター兼早稲田大学社会人教育事業室長でもある太田正孝教授が乾杯の音頭を取りました。

以下、志賀氏、太田教授のコメントを紹介します。

「日本には変革のリーダーがもっともっと必要」志賀氏

blog-0022-2.jpg今日、ここWASEDA NEOキャンパスはこけら落としです。今年度からここが、大いに学ぶための5日間の合宿場となります。構想に4年ほどかかったGRLPもこれまで5回開講し、150名の修了生を出すことができました。そこで、ずっとやりたかったアルムナイを発足することにしました。

産業革新機構の仕事をしていると、日本には変革のリーダーがもっともっと必要だなと感じます。皆さんもよくご存じのように、シャープは数千億円の負債を抱えて経営危機に陥り、台湾の鴻海グループ傘下となりました。しかし、1年後には再生し、一部上場復帰も果たしました。そこで、代表取締役社長をしている戴正呉さんにお会いしたときに、どのようなことをしたのかを尋ねてみたことがあります。

戴さんは一つひとつ丁寧に教えてくれたのですが、それらは実に当たり前のことばかりでした。例えば、「儲からないビジネスはしない」「在庫にしかならない製品は作らない」「しっかりとお客様の要望を聞いて、それに合わせて商品を作る」。もう当たり前のことです。

ところが、この当たり前のことがきちんとできずに経営危機に陥る会社が日本にはいっぱいあります。“技術で勝って事業で負ける”。日本はそれを繰り返しているのです。そろそろ我々は“技術で勝って、事業で勝つ、経営でも勝つ”。そういうリーダーを育てていかないといけない時代になっているのではないでしょうか。

リーダーとして、特に逆風下のリーダーとして、強い精神力とどんな逆風でもひるまず一歩ずつ前に進む。そういうリーダーがGRLPの修了生のなかから生まれてくれることを心から祈っています(志賀氏 開会の挨拶より)。

「コンテンツは常に進化させなければならない」太田教授

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先々週、ルノーの本社を初めて訪問しました。本格的に、ルノー日産アライアンスのリサーチに取り組もうと思ってのことです。コンテンツは常に進化することが重要ですが、これが完成すれば、GRLPの中身ももう一段階レベルが上がるはずです。

志賀さんはいつも「本質と大儀」が大切であると話されていますが、午前中にWASEDA NEOオープン式典にご登壇いただいたファーストリテイリング代表取締役会長兼社長・柳井正氏も同じようなことをお話しされていました。このように、ある意味リーダーシップのコンテンツはそう大きく変わることはありません。ただ、人という器を通すので、その人のパーソナリティに強く影響されるのです。今後もコンテンツを深めて、よりよいGRLP作りをしていきたいと思います(太田教授 乾杯の挨拶より)。

リーダーシップ研究トピックと修了生の実践

中盤には、早稲田大学大学院経営管理研究科早稲田大学ビジネススクールの池上重輔教授がリーダーシップと戦略について簡単に触れたあと、修了生を代表して東京海上日動火災保険株式会社北東京支店長・藤田桂子氏(2016年早稲田・ウォートンコース修了)、カルソニックカンセイ株式会社電子事業部電子戦略推進グループ統括企画担当部長・河野敏郎氏(2016年早稲田・IMDコース修了)、デロイトトーマツコンサルティング合同会社執行役員・北川史和氏(2014年早稲田・ウォートンコース修了)の3名が登壇、リーダーシップの実践報告をしました。

「課題はリーダーを選ぶ基準が見えないこと」池上教授

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世界中のリーダーを評価してみたところ、日本のリーダーの平均点は世界平均をやや上回っていますが、上位層の割合が少ないという傾向が見えてきました。これは、業績を牽引するリーダー、あるいは変革を主導するリーダー、突き詰めて言えばエッジのある(先鋭的な)リーダーが足りないということです。 これが変革期でなければ、過去の日本企業がしてきたようにパフォーマンスがいい人をそのまま昇格させればよいのですが、変革期ではそうはいきません。では、どのようなリーダーが必要なのか。日本企業の課題はそこにあります。つまり、リーダーを選ぶ基準が見えなくなっているのです。そうなると、今のパフォーマンスと将来いいリーダーになる潜在性をどうやって測るかが重要なリサーチエリアとなります(池上教授 リーダーシップ研究トピックより)。

GRLP修了生の声

修了生の発表内容について紹介します。 リーダーシップ実践報告の1人目、藤田氏は2017年4月に現職に昇進、支店トップとして約140名のスタッフをマネジメントするリーダーとなりました。今回、スピーチするにあたり、1年前のテキストの“Leader’s Checklist”を見直してみたところ、できているところもあれば、できていない点もあることに改めて気づいたとのこと。最近では、「変革」や「中間層のリーダーシップ発揮」などを意識して取組んでいきたいと感じているそうです。

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2人目の河野氏もまた、4月に現職に昇進したリーダーです。現在は、中期計画策定や部門横断する新規プロジェクトなど、それまでの仕事とはまったく異なる仕事をされているそうです。研修を受けたことで、経営的な視点でモノを見ることができるようになり、カリスマ型、チーム志向型、人間志向型リーダーシップをうまく使い分けられるようになったとのこと。今後も、実践の積み重ねが大事と日々学んでいかれるそうです。

blog-0022-6.jpg最後の北川氏は、転職後の現職において、まったく新しいカルチャーでまったく新しい人を相手に新しいリーダーシップにチャレンジしているそうです。彼はGRLPでは「何も教えてもらわなかった」と強調、GRLPが様々な観点から考えさせられるアクションラーニング形式であったために、どこに連れて行かれるのか分からなかったそうです。しかし、振り返ってみると、これは多様性をレバーにしたひとつの創発システムで、自分で考えることを教えてもらったのではないかと思い至ったそうです。現在、彼は多様性と創発性を意識してチームビルディングしているそうです。

また、北川氏はGRLPが過去の事例ではなく今まさにリーダーシップを発揮しいている人について議論しているから面白いのだとも話されました。それを受けて、「GRLPにはそのリスクがあります。カルロス・ゴーンをはじめテキストに登場するリーダーは日々意思決定に関わっていて、間違いを犯しているかもしれないからです。ですが、リーダーは“決める、ぶれない、逃げない”をやらないといけない。人生、戦い続けないといけないと思っています」と、志賀氏がコメントしていました。

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活発な意見交換と交流

終盤には公立はこだて未来大学システム情報科学部教授・美馬のゆり氏が飛び入りでお祝いを述べるなど、キックオフは盛況のうちに日産財団副理事長・久村春芳氏による挨拶で閉会、参加者全員で記念撮影してお開きとなりました。

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学問とビジネスの共創の場WASEDA NEO

今回、キックオフの会場となったWASEDA NEOは、学校法人早稲田大学が次世代リーダーの育成を目的に、日本橋キャンパスに新たに開設した拠点です。新しい時代を創る志を持った社会人の交流とイノベーションの機会を提供する「共創の場」として、実践的研修プログラムを行うことになっています。2017年9月からのGRLPもこのWASEDA NEOで行われます。多くのリーダーたちがこの場をきっかけに、さらなる成長を遂げていくことを期待したいと思います。

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