経営戦略の歴史と、その本質。

経営戦略については、これまで多様な理論が発表されてきました。今日と30年前では企業を取り巻く環境は大きくことなります。経営戦略は文字通り、経営の舵取りを理論化したものですので、環境の変化によって経営戦略理論は発展してきました。つまり、時代背景から必要とされる戦略がその時々で生まれて今日にいたっているのです。ここでは、経営戦略と今後の展望について考察します。

 

そもそも経営戦略とは何だろう?

経営戦略の歴史を振り返る前に、経営戦略の定義を確認していきましょう。結論を先にいうと、経営戦略には絶対的な定義は存在しません。「いかに競争に打ち勝つか、一企業がもつ理論」、「長期的視野にたって目的と目標、そして道筋をもつこと」、「無数の行動と意思決定のパターン」など、学者の数だけ定義が存在するといっていいでしょう。しかし、様々な定義が存在しますが、共通するキーワードを抽出すると「目標」、「道筋」、「人材」といえるでしょう。企業は、将来の「目標」を持ち、それに到着するための「道筋」をつけ、優れた「人材」で経営をしていくのです。

 

経営戦略の変遷

経営戦略は、戦争に打ち勝つための「戦略」と、科学的に経営を管理するための「経営学」が結びついて生まれました。

経営戦略の誕生は、1960年代です。「組織は戦略に従う」の名言を残した、チャンドラーの命題が原型といわれています。しかし、チャンドラーの命題は、経営に初めて科学的な手法を取り入れましたが、ヒントやアドバイスの延長といった側面が強かった点も否めません。

そして、80年代に入ると経営戦略を初めて体系化した理論が登場します。マイケルポーターの「競争戦略」です。企業経営に競争の概念をもたらした画期的な理論といっていいでしょう。市場は一企業ではなく、多くの競合との戦いであること、そしてそれに勝つには戦略が必要であることを説いています。経営戦略の元祖といわれており、後の理論に多大な影響を与えました。コストリーダーシップ、差別化、集中など現代も受け継がれている理論が残っています。

それ以降の経営戦略は、市場が複雑化するのに伴って、戦略理論も多様化していきます。90年代に入ると、企業の資源をベースに経営を考える理論が現れました。コアコンピタンス(強みを活かした企業経営)などの「リソースベーストビュー」が代表的な学説です。そして、21世紀初頭になると、「ビジネス生態系」や「ブルーオーシャン戦略」など、比較的馴染み深い理論が登場します。この頃から、心理学をベースとした戦略理論や、分析偏向の理論に異を唱えるアンチ分析理論など多様化がさらに進んでいきます。

 

経営戦略の本質

経営戦略の歴史を振り返ってみましたが、ここに挙げただけでも多様な理論が存在することがご理解いただけたでしょう。経営戦略に共通するキーワードは「目標」、「道筋」、「人材」であると述べました。戦略によって、目標と道筋は、その内容は大きく異なりますが、戦略を遂行できる「人材」を育成することが重要であることはいつの時代も変わりません。その意味では、経営戦略の本質は、戦略を遂行できる優秀な人材を育成することにあるといえるでしょう。

 

リーダーシップの育成が戦略を形にする

これまで、様々な経営戦略の理論が発表されてきました。しかし、すべての理論を覚えることに意味はありません。大切なのは、自社の資源と市場環境をよく観察して、自社に取り入れることができる理論を見つけることでしょう。そして何より重要なのは、人材の育成です。戦略を遂行できる優秀な人材、つまり、リーダーシップを発揮できる人材の育成が、企業の戦略を形にしていくのです。

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