経営を担う“人財”を育てる。今の時代に必要な経営者の育成方法とは?

現代の企業経営をとりまく環境はますます厳しさを増しています。また、グローバル化の進行やIT技術の進化、人材がもつ価値観の多様化といった、ビジネスの複雑化も顕著です。このような時代に、今後の経営を担っていく人材は“人財”ともいえます。経営に関する正しい知識をもち、それを活かしながら状況に合わせて本質的な課題を見抜くことができるコンセプチュアルスキルを身につけた“経営人財”。ここでは、このような状況下のなかで、企業の将来を担っていく優秀な“経営人財”の育成方法を解説していきます。

環境に左右されない考える羅針盤「経営学」を学ぶ。

成熟した日本の経済環境のなかで、従来のような経験と勘に頼った経営判断では、行き詰まる可能性が高くなってきました。また、経営は生き物であり、状況は日々変化しています。そのため、経営者は、今起きている事実を知り、現状をよく分析し、その時々で最適と思われる決断を柔軟に下していく必要があります。しかし、現状を分析するといっても、経営に関する知識が欠如していれば、観察範囲が不十分になり最適な決断は下せません。多角的な視点で状況を観察、分析し、本質的な課題を発見するためにも経営学を学ぶことが効果的です。

経営学というと、経営のマニュアルという安易な認識をもつ人もいます。経営学は、企業戦略とマネジメントについて、リーダー論、マーケティング、財務など幅広く学びます。だからこそ、これらの知識を学ぶことで幅広い視野で経営を捉えることができるようになるのです。経営学は、答えを与えてくれる学問ではありません。多角的に経営を捉える視点が身につく“考える羅針盤”といえるでしょう。現代のように、厳しく複雑な経営環境でも、この経営学という“考える羅針盤”を身につけることで、多角的に状況を観察、分析していくことができるようになります。また、経営に関する基礎知識を身につけていることで、他社事例を研究し、自社に取り入れる際などにも活用性に大きな差が出てくるでしょう。

名経営者から生きた知恵を学ぶ。

経営学は、専門書を読むだけでなく、その道で成功した経営者から直接学ぶことも近道です。経営のことは同じ経営者にしかわからないものです。普段から疑問に感じていたことを直接聞いてみたり、どのように経営の舵をとってきたかを聞いてみたりすることは、書物だけでは学べない生きた知恵が学べます。

そして、企業の個性が多種多様ならば、経営者の個性も多種多様です。経営を担う人材を育成するにあたって、自社の社長から学ぶことも有用ですが、他業種や別の会社の経営者と会う機会をつくるようにすると、さらに経営に関する視野を広げてくれるでしょう。また、優秀な経営者に会って刺激を受けることは、「自分もそういう風になりたい」という、当事者意識を醸成することになり、その意味でも人材育成に効果的です。

また、できる限り多くのケーススタディを研究することも重要です。ケーススタディを研究することで、実践的な経営知識が身につきます。経営にマニュアルはありません。他社の事例を分析して得た知識を、独自に分析し、自社のビジネスに応用していく能力は、経営者にとって必須の能力といえるでしょう。

自分が経営の舵をとる。当事者意識の醸成。

経営を担う人材には「これから自分が経営を担っていく」という当事者意識の醸成も必須となります。経営者と社員では、働く目的が違うといわれることもあります。経営者は組織のために、社員は自己実現のために働くというのが一般的な意識ではないでしょうか。会社の将来を担う経営側の人としては、自分のためだけに働くのではなく、会社の将来や社員の幸福も考えられる人間にならなくてはいけません。そのためにも、経営者に育成したい“人財”の意識改革をしていく必要があるのです。

人の意識はすぐには変わりません。定期的に経営に関する意見を求めていくことで、当事者意識を醸成していけるでしょう。例えば「会社の将来をどうしていきたいか?」、「会社の現状の問題は何か?」、「社員はどうすればもっとイキイキと働けるか?」などの質問を投げかけていきましょう。自分が経営の舵をとるという当事者意識が強いほど、経営が逆境に立ったときにも動じずに明確な決断が下せる経営者としての強靭さが発揮されやすくなります。

実践を通じて、知識が知恵に昇華する。

どれだけ知識を仕入れても、自社に応用できなければ意味がありません。実践の繰り返しが、知識を知恵へと昇華させるのです。そこで、身につけた知識をもとに、自社の課題は何か、そしてそれを解決するために必要なものは何か、を資料としてまとめていくことをおすすめします。そして、日ごろから経営課題とそれの解決策について意見を出す習慣をつけさせることです。この繰り返しが、本質的な課題を発見できるコンセプチュアルスキルを高めるでしょう。

生まれながらの経営者はいない。経営を担う人材は育成する必要がある。

現代の厳しく複雑な経営環境にあって、これから経営を担う人材を育成する方法を解説してきました。このように、経営を担う人材には高い資質が求められ、育成するのも容易ではありません。しかし、生まれながらに経営者としての資質をもっている人はいないといいます。反対にいえば、経営者は経営学で経営に関する多角的な視点を身につけ、優秀な経営者から直接学ぶことで、育成できるといえるでしょう。これから「自分も経営を担うんだ」という当事者意識を醸成していきながら、実践を通じて知恵と内的な強靭さを育成していきましょう。

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