スムースな事業継承を実現するための経営者育成

企業の運営のなかで、現在進行形のビジネスよりも難易度が高いといわれている事業の継承。会社を永続的に繁栄させていくためには、この事業の継承の成否がカギを握っています。そこで、今回はその事業の継承という大きな課題に対して、どのように対応していけばスムースな継承が可能かを考えていきます。

日本の経営者育成の問題点

まずは、日本における事業の継承についての問題点を考えてみましょう。事業の継承、それはすなわち経営者育成とも言い換えられます。そのなかで、大きく分けて3つの問題点が存在しています。

  • 高齢の会長が社長に権限移譲をしない。
  • 事業継承前に判断能力が低下する。
  • 経営者育成能力に欠けている。

日本の少子高齢化の進行により、経営者の年齢も上昇傾向にあります。帝国データバンクが2016年に発表した『2016年全国社長分析』によると、2015年の日本の社長の平均年齢は59.2歳で過去最高を記録、規模が小さい会社では70代・80代の社長が多くなっています。

このように、社長の高齢化が進むと、どうしても判断能力の低下や次期経営者育成の判断は遅れがちになります。そのため、事業の継承がスムースに進まず、事業の縮小ひいては撤退に結びついてしまう例もあります。

事業継承の可否が会社の将来を決める

このように、事業の継承がうまくいった会社は存続し、失敗した会社は存続の危機にさらされます。事業の継承がうまくいった会社は、その方法をカスタマイズしながらさらに次期経営者を育成していけばいいわけですから、さらなる継続・発展の可能性が高くなります。

逆に、会社存続が危ぶまれる状態に入ってしまった会社は、従業員の生活を守れるかどうかということも含めて、大問題に発展する可能性があります。株主や関連会社に対する責任も発生しますし、社内外に迷惑をかけるという危険性が高まります。そして何より、事業の継承の遅れが、軌道修正の遅れにそのまま直結してしまうのです。

事業継承をスムースに進行する方法

それでは、事業継承をスムースに進行するためにはどのような点に注意すべきなのでしょうか? これまで日本の経営者の育成は、エグゼクティブクラスよりもひとつ若い世代である課長クラスが主体でした。「若いうちから経営者視点をもってもらう」という趣旨でしたが、この世代にとっては経営に携わるには早すぎるため、なかなか経営者になるという精神的醸成がうまく行かなかったのが課題でした。そして、まだ経験の浅い社員の中から経営者候補を選ぶという作業は、会社全体の同意を得ることが難しいことでもありました。

そこで、次期候補者の育成に真摯に向き合うためには、部長・次長クラスといったエグゼクティブクラスの育成に集中し、その中から次期経営者候補を選出することで事業の継承がスムースに行えるのでは、という考え方が出てきました。実際、海外ではこの考え方が主流になっていて、外資企業では経営者候補に対して、研修だけで何度も海外へ渡航させ、数時間にわたる担当しているビジネスに関する質疑応答などで「経営者とは?」という意識付けをどんどんやっているのです。経営者を育てられるのは、経営者だけ……この考えのもと、マンツーマンで事業の継承を行うことで、将来の企業体制を盤石にしていきます。

このような企業と渡り合うためには、日本の企業も経営者を育成するということに対して、もっと目を向けていかなければなりません。そして、経営者育成=事業の継承という会社の将来を決める事業をスムースに進めるためには、今の会社の状況を見極め、その会社に適した育成プログラムを推進できるかどうかという現経営陣の目利きが重要になってくるのです。

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